手を抜く技術ばかり磨いてきた人もいる!
先日熟練工から、とても不愉快な話を聞きました。その工員が、作業中に不良品を発見。本人は重大な欠陥かも知れないと疑って、慌てて上司に報告。すぐに上司が確認すると、わりとありがちな不良。するとそれを見ていた同期の工員が、「〇〇と〇〇の区別もつかないなんて」とバカにして笑ったのだそう。
その話を聞いて、私は非常に腹が立ちました。自分は不良品、つまり異変に気付きもしなかったくせに、気付いた人間をバカにできるの?ありがちな不良でも見逃さず、クライアントへ流出させなかったことをスゴイと思えないの?重大な欠陥かも知れないと疑って、でもそうじゃなくて良かったということの繰り返しが、職人の仕事なんじゃないの?と。
せせら笑った人間に問いたい。あなたは何十年も毎日何を考えて何をやってきたのか。おそらくそういう人は、手を抜く技術ばかり磨いて、不良の違和感を感じることすらできなくなってしまったのでしょう。
それでもこの話で救われたのが、上司に「教えてくれて、ありがとう」と言われたということ。その上司は、その工員の息子くらいの年齢なのだとか。仕事に対し人に対し、いかに誠実に向き合うことができるか……。本物の職人というのは、単に年数を重ねただけではなれないようです。