今自分が出来る応援をしてあげるではダメ?
建築職人の種類や仕事内容は多種多様で、細かく分けると100種類以上もあると言われています。そして、例えば型枠大工・鉄筋職人・鳶……。彼らはそれら専門の職人、いわゆる単能工として働いている人がほとんどかと思います。
しかし、人手不足・職人の高齢化が深刻な問題となっている建設業界。その打開策の一つとして、職人の多能工化が注目されています。多能工化とは、従来専門の会社・職人に任せていた作業を、一貫して行うスキルや資格を持ったスペシャリストを育成すること。
組織だけの話ではなく、一人親方の中には多能工という言葉が注目される前から、すでに職種を超えて様々な作業をこなしている人もいることでしょう。そもそも多能工というシステムは、トヨタ自動車が始めたもの。「この人にしか、この機械は使えない」という単能工を減らしたことで、作業効率・納期・人件費などの問題点が改善されたそう。
このように、製造業から始まった多能工化。トヨタ自動車は成功しましたが、様々なスキルや資格を身につける人材育成には、ある程度の時間が必要。それに長年単能工として働いてきたベテラン作業員に、多能工として新たに学習するモチベーションが湧くかどうか……。
しかも建設業では「私、大工も左官もできますよ」なんて具合にはいきません。どちらも、一朝一夕にできる仕事ではないですからね。そう言ってしまうと、元も子もないですが。とはいえ多能工化は、業職種によっては素晴らしいシステムかと思います。
ただ私としては、もっと単純に、忙しくて困っている仲間がいれば、自分の作業を早く終わらせて、今自分が出来ることを応援してあげる。そういうチームワークがあれば、おのずと改善されることがあるのではないかと思う次第です。
限られた作業時間。必死にやってもギリか間に合わないという作業員もいれば、適当にやっていても時間が余って暇つぶしをしている作業員もいるかと思います。そういう担当作業の難易度・数量の差を是正するには、多能工化は有効かとは思いますが。
そもそもは、ほぼどんな会社でも起業した頃は、少人数先鋭部隊=多能工。業績が上がり、大人数になったからこその分業・単能工化。それを、一巡りして元に戻す。そして次はオートメーション化で、職人自体が不要になってくるのでしょうか。