下地をしごく鏝だからスパルタ鏝!?
左官道具といえば鏝(こて)。壁や床などに塗材を塗ったり、平らにならすのに使う道具。用途によって100種類以上あります。ですから左官の道具箱をみれば、その人が普段どういう仕事をしているのか、技量がわかるといわれています。
例えば、木鏝・ゴム鏝・ブロック鏝・レンガ鏝・荒鏝・柳刃鏝・ガングリ鏝などなど。また、元首ペンギン鏝・鶴首雀口鏝・スルメ鏝・お多福鏝・富士引き鏝・引きずり鏝……といった面白い名前のものもあります。
面白いといえば、カネ忠のしごき鏝に「スパルタ鏝」というシリーズがあります。左官仕事の「しごき」とは、下地が凸凹のとき、モルタルなどを薄く塗って鏝で平らに仕上げる作業(不陸ならし)のこと。
しごきだから、スパルタ……。他にも、カネシカの小型鏝シリーズは、小と鏝をかけて「コテっちゃん」。上手いっ!ていうか、商標的に大丈夫なのか、こっちがハラハラします。
他にも左官仕事では、一発仕上げのことを「いちころ」と言ったり。丸っこいドラムのコンクリートミキサーを「だるまミキサー」と呼んだり。
危険と隣り合わせで、常に緊張をしいられる建設現場。なのに、そこで飛び交う業界用語が面白いのが意外。
それはおそらく、危険な現場だからこそ、誰もがわかり易く覚え易い呼び方をして、少しでもミスを減らそうという考えからなのでしょう。
もしくは、単に隠語を面白がっているだけなのかも知れませんが。いずれにせよ、どうぞ皆さん、ご安全に!