【古事記】切り妻屋根を地面に伏せただけの建物が登場?海幸山幸神話後日譚!

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free画像,鵜,黒色,海鳥
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原始の建築様式 天地根元造りのことか?

海幸山幸の神話をご存知の方は多いかと思います。ざっくり言うと、海幸(兄)の漁と山幸(弟)の猟に使う道具を交換して、それぞれやってみたものの上手くいかず、しかも山幸は兄の鉤(つりばり)を失くしてしまいます。

そして山幸は、ひょんなことから海神の宮を訪ねることになり、そこで海神の娘の豊玉毗売(とよたまびめ)と結婚。3年のんびり過ごした後、鯛の喉にささっている兄の鉤を見付けてもらい、地上に戻ることに。その際、兄の海幸を服従させるための魔法の珠2種と攻略法を海神から授かり、まんまと成功させたというお話。

free画像,黒白イラスト,魚と釣り針

古事記では、この話に続きがあります。豊玉毗売は山幸の子供を妊娠しており、天の神の御子を海中で産む訳にはいかないからと、地上に出てきます。そこで海辺に、鵜(う)の羽を屋根にした産室をつくらせます。

しかし産室をつくっている途中で産気づきます。そこで豊玉毗売は夫君に、分娩中は覗かないでと言い残し、施工途中の産室へ。しかし山幸は、誘惑に負けて覗いてしまいます。すると豊玉毗売は大きな鰐(わに)の姿に戻って出産しており、山幸は驚いて逃走。それを知った彼女は、恥ずかしさのあまり夫君と別離。産まれた御子を残し、海の道をふさいで海神の宮へ帰ってしまいました。

free画像,ワニ,砂浜

この神話で私が注目したのが、海辺につくった産室のくだり。古事記の原文では「……海辺の波限(なぎさ)に、鵜の羽を葺草(かや)にして、産殿(うぶや)を造りき。ここにその産殿、いまだ葺き合へねば、御腹の急(と)きに忍(あ)へざりければ、産殿に入りましき……」

通常「葺く」という言葉は、茅・板・瓦などで屋根をおおう場合に使います。ここでは、鳥の鵜の羽で屋根を葺いているということ。ですが原文は「産殿、いまだ葺き合へねば」、つまり屋根ではなく産殿を葺くと書かれているのです。

line画像,天地根元造り,図

出典 建築用語図解辞典 橋場信雄 理工学社

細かいことですが、何となく違和感。そこで調べてみたところ、もしかしてこういうこと?というのに行き当たりました。それは「天地根元造り(てんちこんげんづくり)」。天地根元造りとは、もっとも原始的な建築様式ともいわれており、切り妻屋根そのものが建物になっているようなもの。いうなれば、地面に伏せた茅葺き屋根の中で暮らすイメージですね。

それに天地根元造りは、そもそも神話が発祥だということ。ですから豊玉毗売の産室も、おそらくこれ。だから、産殿を葺くという表現にしたのではないでしょうか。まあ、屋根を意味する言葉がたまたま抜けているだけで、鵜の羽葺き屋根の、ごく普通の木造1Rだったかも知れませんが。

free画像,相倉集落,古民家

ちなみに天地根元造りの建物は、世界遺産 富山県 相倉合掌造り集落などで見ることができます。それにしても、鵜の羽で屋根を葺くという発想がレアすぎる!どういう狙いがあってのことでしょうか。水をはじくとか?黒色がクールとか?
実際にそういう屋根があったとしたら、ぜひ見てみたいものです。

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