聴神経が破壊されると聴力は回復しない!
建設や製造現場で働く皆さんにとって、騒音性難聴は他人事ではないかと思います。ISOを取得している工場などでは、耳栓の装着を徹底しているかと思いますが、建築の屋内現場で耳栓をしている職人をみかけることは、まずありません。
労働安全衛生上は、騒音レベルが85dB以上になる可能性がある作業場では、防音保護具の使用を励行。そしてドライバーやインパクト、丸のこなどの電動工具の騒音は約90dB~約100dB。70dBの低騒音を売りにしたインパクトなどもありますが、いずれにせよ普通の声(約60dB)で話してたら、よく聞こえない環境であることに変わりはありません。
当サイトコラム「建設現場の【苦情】作業員が大声で騒ぐ|それって声がデカいだけかも!?」でも書きましたが、大きい音の中で作業していると、おのずと声が大きくなってしまうんですよね。それでコミュニケーションがとれるなら問題ないかというと、耳の健康にとっては問題あり。
長期間85dB以上の騒音にさらされ聴神経が破壊されると、二度と聴力は回復しないのだそう。つまり騒音性難聴になってしまってから耳鼻科へ行っても、もう遅いということになります。耳栓をしての作業は、誰かに話しかけられたり電話のときなど、その都度外すのが面倒ではあります。
工場などで誰もが耳栓をしている現場なら、話しかける方も話しかけられる方も、耳栓の着脱にかかるタイムロスは皆に等しくあります。面倒ではあっても、皆同じ条件下。それでイライラしてケンカになるようなことはないでしょう。
建築職人の場合は、作業場で耳栓をつける習慣が残念ながらないので、コミュニケーション面では少々不自由かも知れません。気の短い人なら「聞いてんのかよ!」とケンカ腰になるかも!?それでも長期間騒音で聴神経を傷付け、回復しない難聴になるよりはいいのではないでしょうか。
ちなみに、耳栓にもいくつかタイプがあります。ポリウレタン系の素材で、指で軽くつぶして耳の穴に入れると、ふくらんで穴にフィットするフォームタイプ。シリコンやゴム素材で、ひだが段々になっているフランジタイプ等々。この2タイプは、私も重宝しています。
建築現場で使う場合のおすすめも、この2つ。どちらも柔らかい素材のため、長時間装着していても耳が痛くなりにくい。そして耳栓に紐がついているものなら、帽子に結んだり首に掛けたりできるので、外したときに失くす心配が減ります。
ですが上述したように、耳栓をつける習慣がない現場では“自分は耳栓してるから話しかけられても聞こえないかも”というアピールが必要かも知れません。そうなると、ヘッドホンのような形をしたイヤーマフタイプがおすすめ。
首に掛けるタイプや、ヘルメット専用のイヤーマフもあります。これなら誰が見ても“あいつ耳栓してるな”と、一目瞭然ですからね。今回のコラムを書くにあたり、私は米軍仕様のSUREFIRE EP7 ソニックディフェンダー ウルトラという耳栓を買ってみました。
耳栓にキャップがついていて、これを開けていると耳栓を外さなくても電話など不自由しないそう。素材はフォームタイプの柔らかいスポンジ。この耳栓を装着してPCを使っているのですが、キーを打つ音も冷却ファンの音も、ほぼ聞こえません。
他のものと比べて最強か?と聞かれると微妙ではありますが、デザインがかっこ良くて気に入っていることだけは確かです。3千数百円と少々お高いですが……。商品とそれを使う人には相性がありますから、皆さんもいくつか試してみて、自分に合ったものを見付けてくださいね!