アスナロ(ヒバ)は耐湿・耐朽性に優れた良材!
翌檜・明日檜(アスナロ)は、檜(ヒノキ)によく似ている、ヒノキ科の常緑針葉樹。通称、檜葉(ヒバ)。アスナロは「明日は檜になろう」と一生懸命に努力している木、という物語性があります。それというのも、ヒノキは木目・色が美しく、香りも豊か。木材としての耐久性や加工性にも優れた、日本を代表する木。
当サイトコラム「木の生みの親スサノオ|彼の胸毛がヒノキ 尻毛がマキになったって知ってた?」でもご紹介しましたが、ヒノキは古くから宮殿や神社仏閣をつくる木材として重宝されてきました。
一方のアスナロも、耐湿・耐朽性に優れた良質な建材。特にヒノキチオールという精油成分が豊富で、防虫・抗菌効果アリ。そのため、まな板や浴槽の最高級品とされています。他にも防腐剤や育毛剤にも使われているそう。ちなみにこのヒノキチオール、ヒノキの名を冠しているのに、実はヒノキには少ししか含まれていないのだとか。
このように、アスナロも立派な良材。ヒバという木材として、十分評価されています。見た目がヒノキという偉大な樹木に似ているばっかりに比較され、しかも“どう転んでもアスナロはアスナロ”というお決まりのツッコミ。清少納言「枕草子」しかり、松尾芭蕉「笈の小文(おいのこぶみ)」しかり。
ですが井上靖「あすなろ物語」あるいは「しろばんば」のように、それでも一生懸命に努力する姿を描いたものの方がトキメキます。哀れみや嘲笑を向けるのではなく……。それに確かにアスナロはヒノキにはなれませんが、それは樹木の話。人ならば、なりたいもの、やりたいことを諦めず全力で追求し続ければ、きっと勝ち取れると私は思います。