【逆柱】は怪奇現象を起こす?タブー視される真相を探ってみました!

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free画像,武家屋敷,茅葺き屋根
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木造建築物の材料に集成材がなかった頃の名残!

逆柱というのは、木造建築で柱に使う木材を、木が生えていたときの方向ではなく、末元(上下)逆に立ててしまうこと。逆柱は家鳴り(ポルターガイスト)を起こすとか、その家に災いをもたらす、といった不吉なものとされています。

かつて逆柱の怪異にまつわる話は、いくつもありました。古くは鳥山石燕「画図百鬼夜行」に逆柱の妖怪が描かれていますし、井原西鶴「西鶴織留」にも逆柱の祟りの話がでてきます。水木しげるも、逆柱の妖怪を描いています。

free画像,白いお化け,にょろにょろ

小泉八雲は「化け物の歌」で、“さかさばしらは工み(たくみ)のしわざ”としており、大工(たくみ)の不注意もしくは悪巧み(わるだくみ)、いずれにせよ良くないことだと言っています。

ではなぜ逆柱をすると、怪異が起こると考えられていたのでしょうか。加工されても木は生きていると言われますから、“逆立ち状態にされたら苦しいだろう”と想像したから?小泉八雲が言ったように悪巧みなら、それをした大工の怨念がこめられているから?

free画像,丸太,数本

……かも知れませんが、真相はどうやら木の性質によるもののよう。当時は集成材などありませんでしたから、木造建築には山から伐り出した無垢材を使っていました。そうなると木の性質上、根に近い元の方が密度が高く、細くなっている末の方が密度が低い。

強度という点で考えると、当時の建築材料や建物構造では逆柱だと弱い、ということだったのでしょう。ですから柱を逆さまにするミスを犯さないよう怪奇現象と結びつけ、注意を払うよう仕向けたものと考えられます。

free画像,切り株,森の中

法隆寺の宮大工で、薬師寺や法輪寺などの再建・修復も行った西岡常一は、“木は育った方位のまま使うものだ”と述べています。また“木を買うのではなく山を買え”、つまり山へ入って木の癖を見極め、柱・梁・造作・天井用などと木によって使い分ける。
樹齢50年60年のヒノキでも、そうして選別し、在来工法で建てた家は300年以上もつと。(参考「西岡常一と語る木の家は三百年」原田紀子)

ですから末元という木の向きも、在来工法では非常に大事だということになります。現在の木造建築においては、逆柱には構造耐力上の問題はあまりなさそう。ですが縁起が悪いというイメージだけは、いまだに残っているんですね。

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