使う相手のメンタルや技能のキャパを知る!
宮本武蔵の五輪書(ごりんのしょ)という兵法書をご存知の方は多いかと思います。地水火風空の5部構成なのですが、その地の巻に、なんと大工の心得が書かれているのです。それというのも、「兵法の道、大工にたとへたる事」つまり大工の棟梁の心持ちが兵法に通じる。だから武家の頭領もそうあるべき、ということからなのです。
棟梁とは大工の頭の他、集団の統率者(頭領)という意味などがあります。なお、大工の棟梁については当サイト「幸田露伴【五重塔】あらすじ|名工が必ずしも名棟梁という訳ではない!」で解説していますので、興味のある方はこちらもチェックしてみてくださいね。
では、具体的にはどんな風にたとえられているのかというと「大工の棟梁が曲尺(かねじゃく)を覚え、図面を知り、人々を使って家々を建てる。それは武家の棟梁とて同じこと」(意訳)
この、人を見分けて使うことに関してはさらに細かく説明されており、かいつまんで言うと「人を適材適所で用いるには、その人のメンタルや技能のキャパシティを知ること。励ますこと」などが大事。
さて、前後しましたが、最後に大工の心得を6つご紹介します。①よく切れる道具を持ち、暇があれば研ぐこと②木が歪まないこと③留めを合わせること④鉋(かんな)でよく削ること⑤擦り磨かないこと⑥後で歪まないこと。
なお⑤は、キズをつけるな、あるいは磨いて外面だけよくするなという解釈もあり。⑥は②と重複するので、曲がった仕事をするなという解釈をする人もいるようです。