医師としての手塚治虫が建築職人へ送ったメッセージ!?
手塚治虫の漫画「ブラック・ジャック」に、「やり残しの家」という大工の話があります。ブラックジャックが住む岬の家のリフォームにまつわる、ハートウォーミングな話。で、その大工が最高の仕事をしたという証に、以前天井に自分の手形をのこしておいたというシーンがあります。その手形は、自分がやった仕事に対する自信・誇りの証なんですね。
その漫画は、今から約40年ほど前の作品。とはいえ建築職人の仕事に対する心意気は、今も昔も変わらないことでしょう。ですが現在は、サービスの1つとして、施主側の記念手形を壁などにのこすというものに変わってきているようです。
ですから今の時代で新築天井の手形にお目にかかれるとしたら、それは職人が作業中につけた手垢か、オカルティックなものということになっちゃいそうですねw
ところで、自らも医師免許をもっていた手塚治虫。彼が描くブラックジャックという破天荒なキャラに、私としては不思議と傲慢さを感じません。モグリの上、手術費用を何千万も要求するというのに。
それはブラックジャックが、命に対する畏敬の念と自分への自信。それを得るに足るだけの経験・努力をしているように描かれてるから。また一人親方もですが、私のようなフリーランスの人間は、業界でよほどその名をとどろかせていなければ、どんなに自信のある仕事をしても、買い叩かれてしまいがち。
買う方にしたら、同じ金を払うなら、少々出来が悪くても、法人の方が万一何かあったときに安心。例えハイスペックでも個人に頼むなら、そういうリスクを背負い込む分、安くなきゃ割に合わないっしょ。くらいの意識が働くのかも知れません。たぶん(泣)
ですから、ブラックジャックのように自信のある仕事をし、それ相応の対価を堂々と請求。法外な額だと文句をいわれてもオファーが後を絶たない、というキャラに心底あこがれてしまいます。私なんて、しまいにはオファーがあるだけマシだと卑屈になっちゃったりしてますから。
え!?一人親方だけど、俺は他人より多くもらってる!?
すみません。もしかしたら、私だけにあてはまる残念なケースだったかも知れません。うぅぅ……。
さて、話を漫画に戻しまして♪
腕の立つ職人は、物語の題材になるほどの存在。ですがどんなに技量・気概がある職人でも、身体を壊したらそれまで。「やり残しの家」には、もしかしたらそういうメッセージが含まれているのかも知れません。ですから建築職人の皆さん、ぜひとも健康・安全を第一に、後世に残る仕事を、やり残すことなく続けてくださいねっ!