柔軟性と手を抜くことは意味がまったく違う!
建設や製造の現場で働く作業員をみてきて、わかったことがあります。それは、職人と呼ばれる域に達している人たちは皆、作業に緩急をつけているということ。手を抜く抜かないという意味ではなく、柔軟性があるかないか。
例えば、材料にキズがあるとします。製品としてまったく問題がなければ、不良品として処分するのではなく、見えかくれ部分に使うといった。ところが柔軟性がない作業員は、キズがあったらマニュアル通り即処分。
反対に、製品として問題アリのキズでも「これくらいはいいか」「1つくらいはいいか」と緩すぎる判断を下してしまう。もっとひどい人になると、「この程度のミスなら、まあよしとしよう」と言われると、「この程度はミスのうちに入らない」とばかりに普通にやらかすようになってしまうとか。
つまり的確に緩急の見極めができる、柔軟性があるのが職人。頭が固すぎても柔らかすぎてもダメ。いい加減なのではなく、タコやイカといった軟体動物の体のようにナチュラルにしなやか。それは長年やっていれば誰でも身に付くというものではなく、生まれもったセンス・才能によるものが大きいのだと思った次第です。
でも長年やっているという経験則は、才能だけでは埋められない価値があるのも確か。年数だけでも才能だけでも職人とはいえない。ものづくりのとは、何ともキビシイ世界なんですね。